>厚木リングス

  詩 「子は親の鏡」


けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる

とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる

不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる

「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる

子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる

親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる

叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう

励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる

広い心で接すれば、キレる子にはならない

誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ

愛してあげれば、子どもは、自分が好きになる

認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる

見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる

分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ

親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る

子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ

やさしく、思いやりをもって育てれば、子どもは、やさしい子に育つ

守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ

和気あいあいとした家庭で育てば、子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる


--------------------------------------------------------------------------------

けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる


不満だらけの親の気持ちは、ものの言い方や、ちょっとした仕草や目つきに表れます。相手に不満があるときには、自然に目つきや物言いがきつくなるものです。小さな子どもは、こういう親の態度にとても敏感で、傷つきやすいものです。
子どものためにはならないと分かっていても、わたしたちは、ついカッとなってしまうものです。カッとならないためには、意識的に気持ちをコントロールしなくてはなりません。事前に段取りをとっておき、やっていいことといけないことを子どもに言い聞かせておけば、避けられることもあります。子どもは親を怒らせたくて何かをしでかすわけではありません。ですから、親が、最初に、していいことといけないことを、はっきり伝えておくべきなのです。もちろん、どんなに気をつけていても、どうしても、子どもと衝突してしまうことはあるものです。大切なのは、そんなとき、どう接するかです。できるだけ、事情が許すかぎり、子どもに歩み寄ってください。
叱る前に言葉を選ぶことです。子どもの心を傷つけるようなことを言ってはいけません。その子のやったこと、つまり、その子の行動を正すような言葉を使ってほしいのです。子どもをいつまでも叱るのは、逆効果です。大切なのは、子どもが失敗から学べるように導くことです。
子どもに小言を言い、やることなすことにいちいち文句をつけるのも、子どもの意欲を挫きます。では、親はどうするべきでしょうか。「きっとできるはずだ」という肯定的な言い方をすることです。子どもに、配偶者の悪口を言うのも、よくないことだとわたしは思います。

とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる


子どもは、敵意や憎しみのなかで育つと、精神が不安定になります。子どもによっては、不安から逃れるために、乱暴になる子もいます。自分自身が強くなることで、不安に打ち勝とうとするのです。また、子どもによっては、引っ込み思案になってしまう場合もあります。いつも不安な気持ちでいるので、他人との対立や葛藤を極度に恐れ、自分の殻に閉じこもってしまうのです。
子どもというものは、親が隠そうとしても、親の気持ちを感じとるものです。ですから、子どもの前では気持ちに嘘をつかないことが一番いいのです。
わたしたち親は、子どもにとっての完璧な手本になる必要はないのです。感情的になってしまったら、それを認め、子どもに謝ることができれば、それでよいのです。子どもは、そんな親の姿から大切なことを学ぶに違いありません。お父さんとお母さんも、感情的にならないよう常に努力しているのだということを。

不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる


安心できる環境が整っていなければ、子どもの健全な成長は望めません。このような子どもは、人ともうまくつきあえなくなり、何事においても消極的になってしまいます。
親は子どもにとって魔法のように頼もしい存在です。両親の離婚調停中には、子どもはきわめて不安定な精神状態になります。この時期、親は、どんなに余裕がなかろうとも、何よりも子どものことを優先すべきです。離婚をしても親が親であることにはかわりはない、これから先も両親二人で面倒をみてゆくということを、子どもにきちんと伝えなくてはなりません。
親の心配性は気づかぬうちに子どもにも伝染します。だめだ、だめだ、と思っていると、本当にだめになってしまうものなのです。子どもには子どもの人生があります。親の心配がマイナスになることもあります。
子どもにとって、新しい体験は不安なものです。入園・入学、初めての歯医者、初めての飛行機に乗る体験−どれも、子どもにとっては大変なことです。親は、そんなときには、いつもよりもやさしく接し、子どもを励ましましょう。「あなたならできる」と、子どもに自信を持たせるのです。
子どもは、不安にどう打ち勝ったらよいのかを、親の姿から学びます。わたしたち親が、どんなふうに配偶者や友達や親族に支えを求めているか、また、どんなふうに人を支えているか。その姿から、学ぶのです。

「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる



やる気のある子、努力を惜しまない子になるに育てるにはどうしたらいいのでしょうか。それには、まず、親自身が手本になることです。手本といっても、完璧な手本になる必要はありません。逆境に陥ったとき、挫けずに立ち向かうことができれば十分なのです。それから、子どもを信じることが大切です。
みじめな気持ちになってしまったら、もうそれ以上いやなことを考えないように気持ちを切り替えることです。たとえば、自転車に乗って汗をかく、外を速足で歩くなど、何か他のことを始めるのです。どこか素敵なところを旅している自分の姿を思い浮かべるなどのイメージ療法を試してみるのもいいかもしれません。
子どもは、親にかまってもらいたくて、同情を引こうとすることがあります。また、子どもは、「自分にはできない」と言って、親の同情を引こうとすることもあります。大事なのは、子どもが「もう一度やってみよう」と思えるように、チャンスを与えることです。親の自分が苦手なことは、子どもも苦手なんだと思い込まないように気をつけてください。親の役目は、子どもを励まし、導きながら、埋もれている能力を引き出すことなのです。
いやなことや悲しいことがあったとき、いつまでも自己憐憫にひたっていてもしかたがありません。どうしたら前向きになれるか、そんな力を持つことができるように親は子どもを導いてゆきたいものです。子どもを信じ、励ますことは、子どもに同情することよりも、ずっと大切なことなのです。

子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる


幼い子どもは、馬鹿にされると、どうしていいかわからなくなってしまいます。
いじめを直接やめさせることはできなくても、親としてできることはたくさんあります。子どもの様子にいつもと違ったところはないか、日頃から気を配ってください。急に元気がなくなったり、無口になったり、精神が不安定になったりしてはいないでしょうか。もし、子どもが、いじめに遭っていると打ち明けたら、まず真剣に話しを聞くことです。
わたしたち親自身が、子どもを馬鹿にしたり、からかったりしてしまうこともあります。親御さんによっては、それでわが子が鍛えられると思っているのかもしれません。しかし、本当の強さは、人から馬鹿にされたりからかわれたりして育つものではありません。保身に回るというよくない処世術が身についてしまうだけです。これは本当の強さではありません。
家庭がくつろぎの場であり、心からほっとできる場所であれば、子どもはそれだけで救われます。そして、親自身が、人の弱さや欠点を受け入れられる心の広い人であれば、家庭は、子どもが心から安らげる暖かい場所になることでしょう。たとえ失敗しても許してもらえるのだという安心感があれば、子どもの心は明るくなります。

親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる


親がいつも自分と他人を引き比べて不満に思い、他人を羨んでばかりいたらどうでしょうか。子どもも、そんな親の影響を受けてしまいます。
そもそも、他人と自分を比べること自体は避けられないことです。自他の違いを認識してこそ、物事を見る目が養われるのです。子どもも、自他の違いに気づくことから、批判能力を育ててゆきます。問題なのは、違いを認めた後、わたしたちがどう思うかなのです。人を羨み、嫉妬してしまうか、そうはならないか、ということなのです。
親御さんのなかには、他人の子どもに嫉妬する人もいます。わが子には、これができない、あれができない、と欠点ばかりを見ているから、他の子に嫉妬してしまうのです。そんなつまらないことをしていないで、わが子の長所を見るようにすればよいのです。そうすれば、他の子と比較したとしても、すべてはその子の個性なのだと思えるようになるはずです。また、子どもの成功や失敗は、その子自身のものであり、親のものではないのだと肝に銘じることも大切です。子どもには子どもの人生があります。自分の叶えられなかった夢を子どもに託して、過剰な思い入れをしないよう、いつも気をつけていたいものです。
親は、子どもに、友だちと同じである必要はないと言ってやりましょう。人がそれぞれ違うことは大切なことなのだということを、子どもにぜひ教えてあげてください。友だちの真似をせず、自分に自信を持つべきなのです。
子どもが思春期を迎え、自我に目覚めるときに、子どもを支えるのが親の役目です。この時期、子どもは様々な問題に直面し、自分は何者なのかと悩むようになります。親の役目は、そんな子どもが自分の特性に気づき、それを伸ばすことができるように導くことです。
親自身が自分の欠点も長所もすべてそのまま素直に受け入れている人であれば、子どもはそんな親の姿から様々なことを学ぶことができます。

叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう


子育てをしてゆくうえで、子どもに善悪の判断を教えることは、とても大切なことです。善悪の判断を学ぶことは、わたしたち人間にとって、一生とまではいかなくても、長い時間のかかることだからです。
子どもが何か悪いことをしたとき−物を盗んだり、嘘をついたり、人をだましたりした時−ふつう、わたしたち親は、まず怒り、そして、子どもが悪いと決めつけてしまいがちです。しかし、その前に、子どもの側の話も聞いてほしいのです。子どもは、自分が悪いことをしたとは知らなかったかもしれないからです。それを悪いことだと教えるのが親の役目なのです。まず、どうしてそんなことになってしまったのか、子どもの話をよく聞きましょう。そして、その後で、どうすべきであったのか、それを教えるのです。
子どもは、大人のようにうまく感情をコントロールすることができません。ですから、親は、子どもの感情を抑えつけることがないように注意しなくてはならないのです。
子どもも成長するにしたがって、相手の気持ちや立場を考えて、自分を表現できるようになります。しかし、それまでは、親は、子どもが素直に気持ちを表現できるように導かなくてはなりません。子どもを叱りつけて、気持ちを押し殺させるのはよくないことです。
自分のしたことがどんな結果になるかを、子どもは、実際の経験や遊びをとおして学んでゆきます。子どもは成長するにしたがって、自分の行動が周囲の人々にどんな結果をもたらすかに対して、より敏感になります。こうして、子どもは、自分のしたことに責任を取らなくてはならないのだろいうことを学び始めるのです。そんなとき、子どもが、あまりにも自分を責めたり、失敗を恐れて引っ込み思案になったりしないように、親は気をつけたいものです。
子どもは、親に支えられ、教えられて、人の世の掟を学んでゆきます。子どもの話に耳を傾け、子どもの立場や意図を理解するように、親は常に心がけたいものです。

励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる


「励ます」という言葉の英語での元々の意味は「心を与える」というものです。子どもが何か新しいことを学ぼうとしている時には、子どもを支えるだけではなく、公平な評価をも与える必要があります。失敗した時には「もっと上手にできるはずだよ」と子どもを励まし、子どもの可能性を伸ばしましょう。そして、たとえ失敗した時でも親はいつも子どもの味方なのだということを教えてあげてください。
たとえ結果がどうであれ、子どもが何かをやり遂げようと自分なりに頑張ったのなら、親はそれを認め、誉めることが大切です。子どもをどうのように励ましたらいいのかは、時と場合によって違います。子どもが挫けてしまわないように手を差し伸べたほうがいい時もあれば、一人でやり遂げるのを見守っていたほうがいい時もあります。しかし、いずれの場合にも、やさしい言葉をかけて、適切なアドバイスを与えることが大切なのです。
子どもに自分でやらせるべきだとわかってはいても、親は、ついつい手を出したくなってしまうことがあります。しかし、たとえ子どもが幾つであれ、子どもにやらせるべきことは、親が手出しをしないように注意しなければなりません。年齢と能力に合わせて、子ども自身にやらせるのは大切なことなのです。親の役目は、子どもが自分でできるように励ますことです。
自分のことは自分でするということを子どもに学ばせるためには、子どもには十分な時間のゆとりが必要なのです。急いでやってうまくゆかずにイライラさせないためには、時間に余裕が必要です。
もう一つ気をつけたいのは、失敗してがっかりさせるのはかわいそうだと思って、ついつい過保護になってしまうことです。
ほかに気をつけたいのは、「やってみるだけでいいから」と言って、たとえば嫌いな野菜を食べさせたり、嫌がっていることを無理にやらせることです。これでは、「ただちょっとやってみるだけでいい。後はどうでもいい」と言っているようなものなのです。子どもは、「ただやってみただけだから」と言い逃れして、最後までやり遂げる努力を放棄してしまうでしょう。
わたしたち親は、子どもの行動面だけでなく、内面的な成長にも目を向けなければなりません。なんていい子なんだろうと思ったときや、やさしさや思いやりや意思の強さなど、すばらしい心を見せたときには、その子を誉めましょう。子どもは、自分に対する親の評価をもとにして自己像を形成します。その自己像は、学校や地域社会や将来の職場での人間関係に大きな影響を及ぼすのです。子どもの長所を見つけ出し、伸ばすことができれば、子どもは、最良の自己像を持つことができるでしょう。

広い心で接すれば、キレる子にはならない


我慢強いとは、どのようなことでしょうか。それは、現実を受け入れ、現実を認めるということです。ベストを尽くせば、それだけで気持ちが明るくなります。そして、実際にはよい結果が出るものなのです。
たとえどんな事が起こっても、落ち着いて、事に備えたいものです。そのためのちょっとした工夫をお教えしましょう。まず、目を閉じてゆっくり深呼吸します。そして、気力、活力、幸福、理性−この四つをそれぞれ一つずつ吸い込む気持ちで深呼吸を繰り返します。
気を鎮めるもう一つの方法は「今自分にできる事は何か」を自問自答することです。「今はどんな状況なのか。そして今、自分にできることは何か」
幼い子どもには、どのようにして時間の観念を教えたらよいでしょうか。たとえば、植物を育てさせて、時間の経過を教えるのも一つのよい方法です。
心の狭い人は、人種、宗教、文化的背景の異なった人々を受け入れることができません。親が差別的な言葉を口にしたらどうでしょうか。子どもは、たとえ漠然とであれ、その言葉の意味を理解し、親の真似をするようになります。

誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ


子どもを誉めることは、親の大切な愛情表現の一つです。子どもは、親のことばに励まされて、自分は認められ愛されているのだと感じるのです。親の誉め言葉は、子どもの心の栄養となります。子どもの健全な自我形成には欠かすことができません。子どもが成し遂げたことだけでなく、その子の意欲も誉めましょう。
子どものちょっとした行いを誉めてあげることで、子どもは、自分が認められたのだと嬉しく感じます。そして、ますます長所を伸ばすことができるようになります。子どもを信じ、その長所が伸びるようにすれば、子どもは、本当に親の願うような子に育ってゆくものなのです。
子どもには、それぞれ様々な長所があるものです。けれど、親は、自分が価値を見いだしている長所だけを誉めるものです。不幸なことに、現代の消費社会では、人の価値はその人が何を持っているかによって決まる傾向があります。このような物質主義に洗脳されないように、親は子どもに自らが信じる価値観を教えてゆきたいものです。
確かに、子どもに失望するときはあります。失望を無理に隠してもしかたがありません。しかし、いちばん大事なのは、親の気持ちではなく、子ども自身の気持ちではないでしょうか。時には上手な嘘も必要なのです。
自分で自分を好きになることは、とても大切なことです。自分自身を愛することのできる心の安定した人間に、子どもが育ってほしいものです。健全な自己愛は、生きるうえでのエネルギー源となります。その積み重ねは幼い頃から始まっています。
言葉で誉めてもらうだけでは足りない子には、十分なスキンシップをしてあげましょう。親の離婚や病気や死、引越しや失業など、家庭生活に大きな変化が起こることがあります。そんなときは、親は普段以上に子どもに気を配ってあげなくてはなりません。こんなときこそ、子どもには親の愛情がぜひとも必要なのです。

愛してあげれば、子どもは、自分が好きになる


親に惜しみなく愛された子は、すくすくと育ちます。子どもは、どんなに大きくなっても、常に親の愛を必要としています。親は、そんな子どもに、愛しているということを態度で示してあげましょう。子どもを愛するということは、子どもの全存在を認めるということなのです。
愛情は、ことばや態度に表れます。子どもはそれを敏感に感じ取るものです。口先だけで「愛している」といってもだめなのです。わたしは、子育て教室で、親御さんたちに、愛は三つの柱で支えられているのだとお話します。その三つとは、子どもを認め、信じ、思いやることです。欠点も含めた全存在を受け入れ、愛してくれる親というものが、子どもにはぜひとも必要なのです。子どもは、そのように愛されることによって、人を愛することを学ぶのです。
子どもを丸ごと愛している親は、その子のすべてを認め、受け入れています。だから、子どもを自分の望むように変えたいとは思わないものです。けれど、自分の夢に固執している親御さんはそうは思えないのです。親が親自身の夢にしがみついているのと、子どもの夢を分かち合うことと、どちらが親として豊かな体験ができるでしょうか。
子どもを抱きしめたり、やさしく体に触れたりするスキンシップは、大切な愛情表現の一つです。できるだけスキンシップをし、子どもを愛しているということを示してください。これは本当に大切なことなのです。
両親がどんな夫婦であるかは、カップルのあり方の手本として、子どもに大きく影響します。子どもは、両親の姿から、結婚生活とはどのようなものであるかを学びます。そして将来、自分たちの結婚生活の手本とするのです。お父さんとお母さんは夫婦として、互いに相手を尊敬し、支え合っているでしょうか。自他の違いを認めながらも、共通の価値観と愛情によって結びついているでしょうか。そんなご夫婦であれば、子どもにとって、未来の幸福な結婚生活の手本となることができると思うのです。
親に愛されている子どもは、頑張り屋で親切です。自分を肯定し、愛することのできる人間に成長してゆくでしょう。

認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる


わたしたち親は、子育てのあらゆる場面で、子どもにわたしたち自身の価値観を教えています。子どもは、自分が何をしたら誉められ、何をしたら叱られるかをいう体験を通して、親は何を善しとし何を悪いを考えているかを学ぶのです。子どもの人格形成において、親の価値観は、大きく影響します。
子どもの長所が光るのは、日々の暮らしのほんの些細な出来事においてです。それを見逃さないでほしいのです。
子どもは、よいところを誉められれば誉められるほど、よい子になろうと頑張るようになるものです。
食事が終わったらすぐに食器を片づける、外に行く前にはおもちゃを片づける、テレビは宿題が終わってから見る。このような約束事は、日常生活を効率よくきちんと送るためのものです。このようなルールについては、親が一方的に子どもに押しつけるのではなく、子どもの考えや要望を取り入れて決めてゆくものです。そうすれば、子どもはより協力的になります。そして、自分がルールを破ったときも素直に認めるようになるのです。
子どもが親の同意を得ようと何か言ってきたら、できるだけソフトな態度で受けることが大切です。「言ってくれてよかった」という態度を示せば、子どもの態度も柔らかくなり、親の意見を聞いてから決めようという気になります。
子どもは成長するにつれ、自分なりのモラルや価値観を持つようになります。親は、そんな子どもなりのモラルや価値観を尊重するよう心がけたいものです。子どもが自分なりに真剣に考え、人に対して誠実であろうとしているのなら、子どものやり方を認めるべきだと思うのです。たとえ親として多少の不満があったとしても、子どもが自分で判断できたことを喜んであげたいものです。
子どもが悪い誘惑に打ち勝つことができるのは、親に叱られるからではありません。自分の自尊心が許せないことはできないからです。子どもの自尊心を育てることの大切さは、ここにもあります。
親は子どもに過剰な期待をせず、きっぱりとした、しかし柔軟な態度で接することが大切です。そんな親に育てられた子どもは、親に愛されているという自覚を持って、のびのびと育ち、健全な自尊心を形成することができるのです。

見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる


子どもを見つめ、話に耳を傾ければ、子どもの心が理解できます。子どもが何をどのようにしたいと考えているのかがよく分かることでしょう。それが分かれば、親は子どもに手を差し伸べることができるのです。
何かをやり遂げるには、目標を決めて努力を重ねなくてはなりません。それを、幼い頃から子どもに教えてゆければ、と思います。そして、子どもが実現可能な目標をたてることができるように、具体的なアドバイスや手助けをしたいものです。子どもを励まし、支えることを忘れてはなりません。
努力をすれば成果が上がるということを、幼い頃から理解できている子どももいます。一方、そうでない子もいます。親はそういう子にこそ手本を示して、何事も一つひとつの積み重ねが大切なのだということを教えなくてはなりません。
わたし自身は、お小遣いは、食事の後片づけや掃除やペットの面倒をみることなど、家庭生活の基本的な仕事に対する見返りとして与えるべきではないと考えています。こういう仕事は、家族の一員として当然協力すべき事柄だからです。わたしは、お小遣いとは、子どもも家族の大切な一員として認めるという意味で、家の収入の一部を子どもに与えるものであると考えています。
わたしたち親は、日頃から、子どもの努力を認め、うまくゆかない時には励ましてあげなくてはなりません。そうしてこそ、子どもは、夢に向って頑張る子に成長できるのです。子どもを夢を分かち合うチャンスは、ちょっと気をつけていれば、いくらでも見つかるものです。

分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ


わたしたちの家庭生活は、家族が分かち合うことによって成り立っています。それぞれの時間やスペースやエネルギーを家庭のほかの者たちと分かち合うのです。分かち合う心は、言葉で教えるのではなく、親が態度で示すことが必要です。
子どもにも他人には絶対に貸したくない物があります。それを、親は分かってあげなくてはなりません。ととえば、テディベアやお気に入りのタオルなどは、安心感や心地よさや慰めなどの特別の心理的意味を持つことができます。そういった子どもの大切な宝物を、家族の者は粗末に扱ってはなりません。それをほかの子に貸すように仕向けるのもよくないことです。また、もう大きいんだからとそれを取り上げたり、躾に利用したりするのもいけません。
わたしたちに与えられた時間とエネルギーはかぎられています。親は、日々成長してゆく子どもに合わせて、ライフスタイルを変えてゆかなくてはなりません。子どもの生活に合わせられる柔軟性が必要です。
困っている人の役に立ちたいと思えるようになれば、子どもは、分かち合いの心をずいぶん学んだことになります。
家族が分かち合いの心を持っていれば、子どもは、与えることの大切さと喜びとを日々の暮らしのなかで学んでゆきます。そして、十代になるころには、親への感謝の気持ちを持つようになります。
見返りを期待せず、愛情のしるしとして人に与えることのできる人−わが子がそんな人に育ってほしいと親は願います。時間や労力を惜しまずに人を助けることのできる人間になってほしいと親なら願うのです。ところが、これはなかなかむずかしいことです。しかし、心の豊かささえあれば、分かち合う喜びを知る人生を送ることも、世の中に貢献することもできるのです。

親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る


正直であることの大切さを教えるのは、おそらく、いちばん難しいことの一つだと思います。
正直であるということは、つまり誠実であるということだと、わたしは思っています。このことを、まず子どもに教えてください。正直な人は、見た事、聞いた事をありのままに伝えることができます。自分の都合や願望で現実を歪めたり、否定したりはしないのです。つまり、正直な人は、自分の経験に対して誠実なのです。
しかし、子どもが大きくなってからは、本当のことを言わずにおく分別というものも教えてゆく必要があります。時と場合によっては、本当のことを言わずにおいた方がいいこともあるものです。ですから、それを見きわめる分別というものを、子どもに教えてください。また、嘘をつくつもりではなくとも、人は思い違いをして、事実とは異なったことを言ってしまう場合もあります。そのことも子どもに理解させたいものです。嘘がいけないのは、意図的に人を騙そうとするからです。
よく嘘をつく子がいるとします。なぜ正直に、本当のことが言えないのでしょうか。それは、たいていの場合、本当のことを言ったら叱られると思うからなのです。ですから、たとえ悪いことをしたとしても、子どもが正直にそれを伝えたのなら、親は、その正直さを誉めてあげなくてはなりません。
子どもは、どこまで自分の嘘が通用するか、試しているようなところがあります。気をつけなくてはならないのは、そんなときの対応のしかたです。親としてきっぱりとした態度を取らなくてはいけないのはもちろんですが、それが過剰になると逆効果です。なぜなら、子どもが怯え萎縮してしまうからです。子どもを追い詰めたら、子どもは嘘をつくしか逃げ道がなくなってしまうのです。ここで大切なのは、子どもが嘘をついたときには、それを見逃さないようにすることです。そして、嘘をつくのはいけないことだと、きちんと理解させなくてはいけません。
子どもは、罪のない架空の物語や空想を語るのが大好きです。それを、嘘をつくのは悪いことだと言って、叱りつけたくはないものです。子どもの豊かな想像力の芽を摘んでしまってはかわいそうです。想像力をかきたてる楽しい部分は、残してあげましょう。
親が子どもに対して正直であるのは大切なことです。しかし、何でも正直に話してしまってはよくない場合もあります。多少のフィクションを交えながら、その子の歳や成長に合った答えをするほうが大事なときもあるのです。性と死について、どう子どもに教えたらいいかは、とても難しい問題です。大人同士でもなかなかフランクには話せない話題なのですから、まして、子ども相手ではなおさらです。まず、子ども自身に尋ねてみるのもいいでしょう。もし、子どもの質問に自信を持って答えられないと心配しているなら、本や雑誌を読んで勉強することをお勧めします。子どもに正しい性教育を与えることは、親の義務なのです。もちろん、いちばん大切なのは、子どもを思う気持ちです。子どもに安心感を与えることです。このことを忘れないでください。

子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ


子どもはそれぞれ個性も性格も違います。ですから、その子に合った接し方をすることが大切なのです。ある子には十分なことも、別の子には不十分なこともあります。親がどんなに気をつけていても、兄弟姉妹の間には、とかくライバル意識が生まれやすいものです。実は、子どもたちは親の愛情をめぐって争っているのです。親がどの子に感心を示し、手間隙をかけているかに、子どもはとても敏感です。子どもが不満を訴えてきたら、親は反省しなくてはなりません。兄弟姉妹の間の不満を解消するには、それぞれの子どもと二人きりになれる時間を作るのも一つの名案です。大切なのは、親が自分のために時間を作ってくれている、自分のことだけを見てくれていると、子どもが感じることなのです。
子どもの言い分を聞かずに家庭内のルールを押しつけるのはよくないことです。自分の家kンや考えが聞き入れられる家庭で育てば、子どもは、間違っていると思ったことをはっきり主張できるようになります。そうすれば、自分の考えを伝え、物事を前向きに改善してゆける子になるのです。

やさしく、思いやりをもって育てれば、子どもは、やさしい子に育つ


人を思いやるとは、その人を敬い、やさしくすることです。それは、毎日のちょっとした仕草に表れるものです。夫婦が互いに敬い合い、子どもにもやさしく接していれば、子どもは自然にそれを学びます。人を思いやることは、ありのままのその人を受け入れ、その人の気持ちを尊重し、時には自分の気持ちより優先させることなのです。
幼い子どもは、自分のことしか考えられません。これは、幼児の自然な成長の一過程です。幼児は、成長するにしたがって、この自己中心性を和らげていきます。子どもは、一人ではなかなか思いやりの重要さを学べません。親が導かなくてはならないのです。思いやりの心は、子ども時代に学ばなければなりません。大人になってからではとても苦労してしまうことでしょう。
子どもに何かを頼んだり、何かをさせるときには、親も子どもの気持ちを考えることが大切です。また、子どもが見せるやさしい仕草を、そのつど誉めることも大切です。
家庭生活で、家族が物をどんなふうに扱っているかも、子どもの心に大きな影響を与えます。親が、物を大切にしているか粗末にしているかで、子どもの態度も変わります。
子どもは、親の口調や仕草や表情をよく観察しているものです。喧嘩をしなければいい、という単純な問題ではありません。大切なのは、夫婦が日頃からどのように互いの不満を解消、対立を解決しているか、そのコミュニケーションの取り方なのです。
将来、子どもは成長して、異なった信条や人種や習慣の人々と生きてゆくことになります。家庭のなかでも、家族一人ひとりの個性や違いを認め、尊重し合って暮らしてゆきたいものです。そんな家庭で育てば、子どもは、偏見のない人間に成長するに違いありません。

守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ


親子の絆が強い信頼で結ばれていれば、子どもの心は安定し、自信が生まれます。たとえどんなことがあっても、親は自分の味方になってくれる。どんなときにも自分を守り、支えてくれる。そう思えれば、子どもは親を心から信じることができるのです。
「何かを信じる」ということは、信念を持つということです。信念のある人間は、自信を持って人生を歩んでゆくことができるのです。
家庭生活の習慣を破るような楽しい出来事を体験させるのも、子どもには大事なことです。そんなわくわくする体験を、子どもは一生覚えています。日常生活から離れた新鮮な体験だからです。
自分の考えがあやふやで、自信がなければ、人に振り回される弱い子になってしまいます。そんな子にしないためには、まず親が子どもを信じることが大切です。
自信のある子に育てるのは、決して難しいことではありません。親の育て方次第なのです。それには、子どもを信じ、可能性を信じることが何よりも大切です。子どもへの信頼を子どもに伝えてください。子どもは、そんな親に支えられて、自分を信じ、伸びてゆくのです。

和気あいあいとした家庭で育てば、子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる


子どもが初めて出会う世界は、家庭です。子どもは、家庭生活での両親の姿をとおして、価値観や生き方を学びます。むしろ親が意識していない言動から、子どもは強く影響を受けるのです。
子どもを誉め、励まし、認めれば、家庭は温かな場所となります。子どもが失敗しても許し、欠点も受け入れることです。子どもを理解し、思いやる気持ちが大切なのです。厳しくしつけなければならないときでも、頭ごなしに叱りつけたり、無理やり従わせたりしてはいけません。子どもを信じ、支えることが大切なのです。
家族の形態は変わりつつあります。母親と父親の両方そろっている家庭が当たり前というのは、もはや過去の話です。親は一人だけの子、お祖母さんや親戚の人に育てられている子、あるいは、母親と父親が二人いる子など、家族の形態は様々です。しかし、たとえ誰に育てられようとも、子どもにとっていちばん大切なことは、かけがえのない存在として愛されていることなのです。親戚や友だちといった家族以外の結びつきがあると、子どもの世界は広がります。子どもは、よい刺激を受け、楽しいことも増えます。親以外にも支えてくれる人がいるのだということを実感し、心強く感じるのです。かわいがってくれる大人の存在が多ければ多いほど、学ぶことや見習うことが多く、子どもの世界は豊かになるのです。
親としていちばん大切なことは、子どもに何を言うかではありません。また、心の中で何を思っているかでもありません。子どもと一緒に何をするか、なのです。親の価値観は、行動によって子どもに伝わるのです。子どもを励まし、許し、誉めること。子どもを受け止め、肯定し、認めること。誠実とやさしさと思いやりを身をもって示すこと−それが親の役目です。
子どもは皆、すばらしい存在です。隣の子どもも、隣町の子どもも、遠くの国の子どもも。そのすばらしさをどうのように伸ばすかは、わたしたち大人次第なのです。子どもたちは皆、わたしたちの未来を背負った、わたしたちすべての子どもなのです。
わたしたち大人が子どもを導けば、子どもは、この世の中はいいところだ、自分も頑張って生きていこうと思えるようになるのです。


引用:「子どもが育つ魔法の言葉」 ドロシー・ロー・ノルト、レイチャル・ハリス
    ( 原題  Children Learn What They Live Parenting to Inspire Values )

inserted by FC2 system